2013-07-29

9W (New York)


ニューヨーク9Wへ

前回に引き続きニューヨークロードバイク記。いまニューヨークのサイクリストのなかでは、マンハッタン島からハドソン川沿いに北西に伸びる道、9Wがトレーニングやロングライドのメッカになっているらしい。JさんはじめImaichi Cyclingの皆さんと一緒に9Wを走ることになった。

待ち合わせはセントラルパーク
まずはセントラルパークを1周弱。左右のコーナリングと、ちょっとした暖斜面があって飽きない。道は自動車2車線ぐらいの幅があり、ロードバイクで巡航していてもまあまあ余裕はある。(ただし、ジョガーも多いので、それなりに。)気持ちいい。



9A、ハドソン川東岸を北上
市街地を抜けてハドソン川の岸沿いに北上、マンハッタンを抜ける。アメリカでは初走行なので、右側走行とか、信号左折になれるまで少し気を使うが、先導してくれているTさん、Oさんを見ながら走っていると徐々に慣れてくる。



GWB(ジョージワシントン橋)で渡岸、9Wへ
道路が橋に接するポイントは道路状態が自転車に向いていないので、ちょっとだけ、う回路を使って仕切りなおしてから、橋の遊歩道にアクセスする。(日本でも、こういう構造はよくありますね。)橋のうえは遊歩道なので、歩行者がいれば徐行。橋を渡ると都会の喧騒がぐっと静まる。

9Aを離れて、病院の右側を通る

 GWBからマンハッタン方向

サイクルショップSB
アメリカで初めて見た、いわゆるロードバイクのプロショップSB (Strictly Bicycle) ガラス張りの店舗と広い駐車・駐輪スペースで、しいて言えばNalsmaみたいなモンだ。やあ、サイクリストがいっぱいいる。いろんなチームが集結地点に使っているようだ。ここでさらに集合を兼ねて休憩。Oさんが親切に準備してくれたドリンクを飲み干す。



まずはHenry Hudson Drive
人がそろったところで出発。往路は9Wそのものから開始せず、9Wの東側を並走するHenry Hudson Drというの森林コースを使う。この道からしてやられた。私のロードバイク人生の中でもトップを争うほどの良道である。左側は堆積層の崖、右側も斜面になっていて、下った先にはハドソン川が見える。基本的に深い森で、日影が多い。交通信号や看板なども一切なし。自動車の往来もゼロ。道幅は1.5車線ぐらいと理想的な環境である。素晴らしすぎる、、、。


奥の坂道へ
Henry Hudson Drから、Alpine Approach Roadに切り替える地点に到着。ここでそのまま直進せずにヨットハーバーのようなところに降りる坂を下る。ここは通称「奥の坂道」を仲間の間で呼ばれているそうで、この坂道をプチ・タイムトライアルの起点に使うらしい。確かにそういう感じである。正確な数値は忘れたが、私のフィーリングでは10%が4kmぐらい続く感じかな?


皆さん早いので、どうにかこうにか後ろに遅れながらもついていく。600mmのTrekが重い。というか重心の位置が一向に分からず、左右に振っても、ダンシングしても、なんかスカスカする、、、、。

ハドソン川の絶景ポイントへ
その後9Wをかすめつつ、コロンビア大学敷地の入り口付近で右折し再度、森の中に突入。こんどはガレ場の林道で勾配も険しい。これは2kmぐらいだろうか。



それを突破した先は、ハドソン川に面した断崖絶壁のうえだった。これは中々の鳥瞰で、疲れも吹き飛ぶ。みんな一時休憩。Oさんの新型ドマーネと一緒にパチリ。(かっこいいな)





その後、再度ガレ場を通過して、9Wに復帰。ここからは大型幹線道路でのクルージングモードに入る。やはり、ドラッグさせてもらえるとありがたい。

Piermontに到着
今回の目的地は、マンハッタンから40kmほど北にあるハドソン川河畔のPiermont市。



Piermont Bicycle Connectionというショップでバイクを止めて、店内でくつろぐ。サーベロの新型マシンやBMC TM01なんかが並ぶ。心地よいショップで、いろんなサイクリストが集っていた。Gypsy donutというドーナツをほおばって休憩。





この先、さらに北上すればBear Mountainがあるという。そこもまた絶景ポイントでサイクリストにとっては最高のコースらしいのだが、マンハッタンからは往復160kmコースとなる。ちょっと厳しいね。いずれ挑戦するぞ、、、と心に決めつつ、皆さんと帰路に就く。

帰りは9W一本でクルージング
帰りの9Wは、ややアップダウンをこなしながらも全般的には下り基調。マドンのJさん、CAAD10のKさんにダブルアシストしてもらって、それなりに気持ちよくクルージング。ああ、こんな日が月に1回でもあればいいのに、と思いながら景色の流れを楽しむ。

全般的に9Wは、片側2車線プラス予備の1車線がある国道で、車の往来はそれほど多くない。サイクリストは大量に発生しているが、トレーニングであってもカーボンチューブラーを履くようなシリアスなライダーの比率が高いと感じた。

帰りはあっという間である。往路と同じくサイクルショップSBでいったん休憩し、それぞれ解散。私は3人のグループでマンハッタンにまで帰る。

マンハッタンに入ってからは、ハドソン川東岸の小道を走る。ここは観光客が多い整備された公園という感じで、高速に走るようにはできていないが、ふつうの人がサイクリングするには丁度いいだろう。そのまま海の方向に南下し続けて、最後には69th StreetのあたりでOさんと遅めのランチ。



最後に、セントラルパークに入って自転車を返却。Oさんと分かれて私は地下鉄でPark Av. 39thのホテルへ帰還。これでも15時前である。シャワーを浴びてゆっくりしても、もまだ夕方の時間がある。

いい一日であった。



Bike and Roll (New York)


ニューヨークでロードバイクに乗る

仕事の関係でニューヨークに行くことになった。ほんの短期間だけど、せっかくなのでニューヨークでロードバイクに乗ってみようと思い立った。

そこで最初に思い浮かんだのが、大学時代の畏友Jさん。彼については、Road in New Yorkというブログがあって、私も愛読しているのだが、要点をいうと以下のようなスバラシイ人である。かねてよりリスペクトしているJさんとの再会もかねて、NYに行くときは彼と会おうと決めていたのであった。

 Road in New York
厳冬の長距離ライド in ニューヨーク: まとめ
セントラルパークでのタイムアタック
肋骨損傷ブルベ
自転車の国への切符
UCIアマチュアワールドチャンピオンシップ


さっそくJさんに連絡してみたところ、快い返事が。ライドの日程、コースなどいろいろと提案してくれた。また、チームImaichi Cyclingのメンバーにも声をかけてくれることになった。

さて、そうなれば必要なのは現地でのバイク調達である。今回はPTO (Paid Time Off) の取得に失敗してしまい、バイクに乗れる日は週末の1~2日程度だ。となると現地でレンタルするのが一番手っ取り早そうだ。

Jさんに相談するとBike & Rollという自転車店を紹介してくれた。ニューヨーク・マンハッタンのあちこちに店舗があり、レンタルを行っているらしい。さっそくウェブをチェックしたところ、だいたいコンフォート:44ドル、クロスバイク:53ドル、ロードバイク:69ドル(いづれも1日)ぐらいが相場らしい。モデルはTrekのアルミモデル (Trek 1.5) 。ふむ、これならなんとかなりそうだ。

Bike and Roll -- ロードバイクのレンタル料金


出発地点は同店のセントラルパーク西口にある、Tavern on the Green (West 67th Street at Central Park West) という場所に決定。セントラルパークのなかでちょっと広場になっている場所である。早速オンラインで予約をする。予約証を印刷しておく。あとはヘルメットとジャージをスーツケースに詰め込んで出発するのみ。ペダルはフラットで我慢することにした。

 * * *

そして当日

ニューヨークのホテルは、Park Av. 39のあたり。Bike & Rollは8AMから開いているので、7:30ぐらいに出発。自転車に乗るような格好で地下鉄に乗るのもはばかれるかな、と思ったのでタクシーを使う。早朝は道もガラガラで、10分もかからないぐらい。

ニューヨークのど真ん中でいきなりジャージ姿でうろつくのもどうかと思ったのは全くの杞憂。セントラルパークに入ったら、ちょうどロードバイクのレースをやっている最中で、ゴール地点を見ることができた。レースに関係ない人も含めたら、100人ぐらいはロードバイクを走らせていた。心が躍る。



そしてBike & Rollの店舗を発見&到着。しかしなんかイメージと異なり、なんとも素人くさい雰囲気が漂う。これはバイクショップというよりも、観光客向けの露店サービスのような感じだ。この時点で視覚的に50%ぐらいは猜疑心に捕らわれる私。



開店準備をしていたドレッドヘアーのお兄さんに、予約証をみせて「乗せてくれ」というと、奥の倉庫に連れていかれた。なるほど、Trekのロードバイクが詰め込まれているぞ、、、なんか無造作に。サイズを適当に選んで渡してくれた1台は、バーテープもみすぼらしく、反射板もひん曲がったような代物だった。

まあ走れればいいやと思いつつリアタイヤを握ってみるとブカブカ。例のお兄さんに「これ大丈夫なの?」と聞いたら「平気平気!」みたいなノリ。自分の感覚では5 BARぐらいだなーと思いつつ、ともあれバイクを受け取って、店舗の近辺で試走した。

サイズ、ハンドル位置は思いのほか良好で、左右に振っても重心の位置を感じることができた。もしビンディングペダルだったら本気で踏めそうな手ごたえ。車体が重いので反応は悪いが、どうにかなりそうだ。ただ、やはりどうも悪い予感がするので、もういちどドレッド兄ちゃんに、タイヤをぐりぐり握りながら、「ほら、これじゃあ空気圧が足りないよ、もうちょっと入れて」とリクエスト。

するとドレッドさん、何を思ったか、携帯ポンプを取り出し、後輪のバルブにスポっと差し込んで、スカスカと空気を入れ始めた。(なんで、携帯ポンプなの??) そのへたくそな手つきに空気がプシューっと全モレ。あわれフラットタイヤに。「アワワ」と思いつつどうするのか見守っていると、なんと奥から大サイズのバイクを持ち出してきて、「こっちは整備ができているから、これに乗ってくれ」という。

なんだ、この男はチューブ交換できないのか?と思って確認したら、オイオイ、600ぐらいのサイズではないか。「ちょっと待って、そっちの自転車を使えというのであればホイールだけ変えてくれればいいから!」と言ったら「いや、オレさ、ホイール変えられないんだよ」との返事。

ガーン。(というか、この返事予想していた。)

しかたがない、Can't help it… 多くを望むのはやめよう。この600のバイクで走れればいいじゃないか、と自分に言い聞かせている私。横で彼がシートポストの高さを調節してくれている。しかし、レンチの回し方が逆だよ、、、。ものすごいバカ力で締めこんでいる彼。

その時、本日お会いした一人目、Oさんが到着。Oさんが開口一番。「回すの逆ですよ」「え?よく知ってるね」「まあ毎日やってるからね」とまあ、一事が万事である。

そうこうしてようやく出発。このバイクも結局5 BARぐらいの感覚だったのだけど、パンクすることはなかった。

 * * *

走り終えて

再びBike & Rollの店舗に帰ってきてバイクを返却。すでにオンラインでカード決済しているので、特に金銭をやり取りすることもなく終了。めでたしめでたし。

ニューヨークでのバイクレンタル

結局メンテナンスされていないバイクを載るという状況に、どこまで対応できるかという問題になる。私の場合、いざとなったら最低限のリペアキットを持っている仲間がいる、という感覚と、それでもだめならばタクシーにでも載せて帰るという気持ちがあって、結果的には出張の一日をバイク・デイに割り当てることができたし、実際にとてもエンジョイできた。

ただ、ホイールを変えることすらできないスタッフの店でバイクを借りるのである。そのあたりのリスクは十分すぎるぐらいあるので、万全の態勢でなければ、クロスバイクでマンハッタン島の中をぐるぐる走るぐらいにとどめておくほうが良いだろう、と思った。私的には、一緒に走ってくれた方々に感謝感謝、である。

以上、ニューヨークのバイクレンタル体験記。私のように出張でニューヨークに行ったついでにロードバイクに乗りたいなーという人に参考にあればと思う。at your own riskという部分は十分にあるが、それでもニューヨーク郊外の道は最高であると言っておきたい。


追記

店舗のお兄ちゃんはメカニックではない。彼はメカニックとしての給料は受け取っていない。したがってホイール交換すらできなくとも彼の責任ではない。そのあたりの機能分担は明白にする、これもアメリカ流だなー、と思う。