2018-05-20

Kyoto Trail(修学院+比叡山+北白川)

京都一周トレイル(修学院+比叡山山頂+北白川コース)の話。

GW後のとある週末、私は京都にいた。
都合により時間が空いて、スポットでひとりオフを過ごすこととなったのだ。

丸一日、自由に使えるなんで何ヶ月ぶりだろう。
何しよう、何しようー! そんな気持ちである。

自転車をレンタルして大原、鞍馬や雲ヶ畑やをグルッと周ろうかな?と以前から思っていたけど、今回はあえて自転車は却下した。以前から興味があったトレラン(という名の山歩き)をしてみることにした。

まずは主要ゴールとして比叡山山頂を設定(単純に登りたいから)。
適当にネットで登山口やコースを調べていると、修学院離宮の横手から入る道が程良いらしい。さらに見ていると、京都市を取り巻く山中には、どうも「京都一周トレイル」というものがあるらしい。

そこで「京都一周トレイル」について調べてみると、それは京都市の周りの山々の中に整備されているトレイルの集合体で、実際に一つの「環状線」のようになっているという。そして、市街地への出入り口や、迂回路や分かれ道への分岐点も点在しており、それらの案内板を見ながら進めば、迷わずにハイキング、登山、トレランに使うことができるという。さすが京都です。

京都一周トレイルの詳細なルート地図をさがしてみたが、特に見つけられなかったので、実体験のブログ情報に頼りながらもう少し調べてみると、修学院離宮の横手から比叡山山頂まで一気に上がり、その後は比叡山の南尾根(東山北端)に連なる山々を縦走しながら、北白川の辺りに降りてくることができるらしい、ということがわかった。

これって距離的にも丁度よさそうだ!長めに見ても半日ぐらいの行程だろう。しっかりと自然を楽しみつつ体を使うことができそうだ。がぜん冒険心に火が付いてきた。まあ京都だし、市街地であれば土地勘には自信はある。さすがに山に入るんで、基本的マナーや安全マージンは踏まえているつもりだが、それなりに運動負荷は高めたい。細い道はわからないが、「軽い気持ち」状態で、修学院+比叡山+北白川トレイルランを実行することにした。

修学院+比叡山+北白川コースのルート

まずは登り

まずは適当にバスに乗って出町柳駅に行き、叡山電鉄に乗る。そして修学院駅で降りる。
高野川の支流である音羽川があるので、そこから川ぞいに登っていく。

ここから音羽川

川沿いを進む…。

砂防ダムがみえてきて、道が途切れるところで、「きらら坂登山口」がある。ここから山道に入る。

きらら坂へ

この後は、基本的に掲示板に従って進むだけでOK。

山に入れば、すぐに本格的な登山道となる。いきなり秘境感満点? ヒト一人が通れるような細い道、20%ぐらいの斜度で、標高500mぐらいまで一気に登っていく感じである。心拍数が一気に上がる。運動負荷は十分高く発汗も多い。先も長いので、感覚にたよって駆け足で登るのは止めて、ここからはガーミンを見ながら心拍を140未満ぐらいに維持するようにした。




しばらくは細い道が続く。両サイドは切り立った壁になっていて、一人がようやく通れるぐらい。


修学院から始まるこのルートを指して雲母坂(きららざか)と呼ぶそうだ。「狭く急坂の道は古来より、都から比叡山への主要なルートの一つだった。延暦寺への勅使や修行僧が行き来した道でもあり、勅使坂とか禅師坂、阿闍梨道とも呼ばれてきた。」参考
他の数多くのブログで語られている通り、道に迷いそうなところはなかった。分岐路があるところには、京都一周トレイルの標識があって、自分が正しい方向を向いているのかのチェックができる。初見でも困難はなさそうだ。

京都一周トレイルの標識

標高500 mから800 mぐらいは、例の細くて切り立った壁を伴った、極端な凹面状の小道ではなくなり、林道やちょっとした尾根のような場所も目立ってくる。周りの植生の変化にも気づく。

そこで結界の碑(結界石)があった。

結界石

「浄刹結界址」と描かれた石柱だ。「浄刹は「浄土」とか「清浄な領域、清浄な寺院」、結界は「修法を行って魔物の侵入を防ぐ」とか「仏道修行の妨げになるものの出入りを禁ずる」という意味があるので、ここから先はまさに聖域に足を踏み入れることになる。」参考

さらに進む。森の中でちょっと方向がわかりにくくなる場所があるのだが、遠くを見ると石が積み上げられていて、近づいて見ると目印になっていることが分かった。

どちらかな?

ここに向かえばいいんですね。

心憎い演出である。立て看板やペンキで「あっち」と書かれているよりも余程いい。

さらに進んで行くと、比叡山人工スキー場の跡地を横切る。こんなところに来るのか…。(何を隠そう、私はここでスキーをしたことがあるのだ。)

比叡山人工スキー場跡

スキー場から京都市方面を見る。

山頂付近になると、清々しいポイントもある。


その後は、ロープウェイの山頂駅ではなく、比叡山ドライブウェイの山頂のパーキング地点を目指す。これでゴール!

比叡山山頂

北側斜面の景色。京都大原と滋賀県近江を分ける山々。

南側斜面の景色。比叡山南麓(大文字山とか)と、滋賀県大津方面。

比叡山山頂のパーキングまで来た目的は食事である。そにある食堂でのんびり昼ごはんを食べた。山菜ぶっかけうどんと、おでん…、ああ日本って素晴らしい。

下山

落ち着いたら下山開始。予定通り、途中まで元来た道を下っていく。京都一周トレイルをたどりながら、今度は北白川(仕伏町)方向を目指すのだ。

全般的には、下り基調で、標高が300 mから400ぐらいのところを上下していく。このルートはなかなかダイナミックで、驚くほど綺麗な沢を越えたり、興味深い史跡を通り過ぎたり、自然の中にどっぷり入り込んでいるような没入感もあった。

ただし、普段山歩きをしていない私にとっては、意外と難しい道だった。石ころだらけの下り道なので、足首のトラブルを避けるためには、どうしてもスピードを落とさなければならない。心拍数は持て余し気味…。この辺は自転車での爽快感とは別の世界か。

ところで、白川という地名は、京都人であれば誰しもが馴染みのあるものだろう。それは川に「白砂」が流れていることに由来する。禅寺にあるような枯山水の造園のコンセプトは、白砂で水の動きを表現することにあるのだが、その美意識を支えた白砂が採集されたのが、この比叡山南麓の地域なのである。この辺りは「白川石」と呼ばれる鉱物の採集地で、巨岩が多い。

そんなことを考えながら、山道をぐんぐん進む。瓜生山(東山36峰のひとつ)を過ぎたあたりから、若干方向感覚がなくなってきたので、残体力のマージンを確保するのと、標識を見過ごすことがないように、あくまで念のためであるが慎重に進んだ。

最後には大山祇神社にたどり着く。由来は平安時代、9世紀頃の創建という。

大山祇神社(おやまずみじんじゃ)

神社の裏手からはいって、表に回って参道を抜ければ、市街地に出ることができる。

ここが山への入口/出口。

ここで京都一周トレイル「東山56-1」ポイントにくる。ここで本日のルートは完了。(逆方向で、北白川から山道に入る場合は、ここを目印にしよう。)


せっかくなのでブラブラ歩きながら、久しぶりに百万遍を眺めつつ、出町柳駅まで歩いた。これで5時間ほど前に来た場所にそのままもどってきたことになる。まだ午後2時頃。あとはシャワーを浴びてのんびりするだけである。まだ半日残っているわけであるが、よい1日であった。

ちょっとしたまとめ
往路:修学院→比叡山
Distance 5.5 km、Altitude +740 m (max 822 m)
(参考時間:1:30、950 kcal)


復路:比叡山→北白川
Distance 7.7 km、Altitude -850 m
(参考時間:2:00、950 kcal)