Route : 多摩CR→睦橋通→五日市→南郷→甲武→上野原→R20→大垂水→浅川CR
Distance : 130km
Food intake : ドリンクx1、MUSASHI、あんぱん、メープルサンド、お餅x1、ゼリー (apprx. 1200kcal)
甲武ルート
もし山の中を走るとして、雨の前日の晴れの日と、雨の翌日で晴れの日ならば、どちらがよいでしょうか。
路面が荒れていることを考慮したとしても、私は断然に後者がいい。視界がすごくクリアになって、空気も澄んで気持ちいいからだ。
たとえていうならば地上波アナログの映像がハイビジョンになるようなものである。べつに大げさなことではない。自分の目の性能はこんなに良かったのか、と驚くぐらいに本当に遠くの山や木々の輪廓まですっきり見えて、気持ちいい。今日はまさにそのような一日でした。
そもそも、いまはもう12月。
さすがに今年はもう山には登らないつもり、、だった。
だけど、、、。今日は気温も上がるらしく、たぶん絶好のタイミング。気楽に出発することにした。タイヤの空気圧をBAR7.05に計ったり、チェーンルブのチェックをしたり手間をかける割に、
身なりは驚くほど軽装で笑ってしまう。一応冬に山に行くって言うのにね。
走り出すと、路面はまだウェット状態で、空は雲に覆われていた。
しばらく走っていると突然に光が差した。私は走りながら、この瞬間を待っていた。
この瞬間です。
嵐があけた翌朝、雲間から光が差し込んでくるという
絶好のタイミング! 私はこの瞬間がとても好きなのです。ほんの2〜3分で一気に晴れ渡り、澄んだ光、それも朝の柔らかい光で、数十キロ先まで見渡せる瞬間。(太陽の光の種類にはいろいろあって、朝が一番柔らかい。) 今日は、
この瞬間のためのいろいろと気候的条件が揃っていることが分かっていた。
これはたぶん、エリック・ロメールが『Le Rayon Vert(緑の光線)』という映画で、ある特定の気象条件が揃った一瞬に、太陽から緑の光が見えることをとらえようとしたような感覚(錯覚も含めて)に近いかもしれない。
太陽が出た瞬間に気温が5℃上がった感じ。
私も出発してからこのかた、ウォーミング・アップも丁度終わった。「さーぼちぼちペース上げて行くかー」と。
あとは快調に、奥多摩方向に向かって進んでいった。
武蔵五日市に来たところで、今日の最終コースを決定した。(いまさら!) このさいだから甲武トンネルを越えようかなあと。
檜原街道で奥多摩湖に向かう途中に、上野原への分岐がある。上野原側に抜ける途中にあるのが甲武トンネルである。
この分岐地点まで来る人はたいてい奥多摩湖方向に向かうはずだから、わざわざ上野原方面に行く人はそれほど多くないと思う。この分岐で上野原方面に進む場合、700mぐらいの峠を越えて甲武(山)を超えることになる。ここはしばしば
甲武トンネル・ルートと呼ばれていて、奥多摩方面と相模湖方面を結ぶ重要なルートである。私自身、このルートを使ったことがなかったので、一度来てみたかったのだ。
甲武トンネルまでの登りは見事なまでの8の字カーブの連続。8+8+8字ぐらい。ルートとしてはやや険しい感じだった。奥多摩方面と違ってまったく車の往来もなく、人の気配もなにもない山道。なにかトラブルがあったら難儀するでしょう。(このあたりで出会ったのは、ロードバイクにのった外人さんのトレイン組のみで、オートバイも自動車もなかった。)
登りの風景。8字カーブのコンボを終えたあたり。
甲武トンネルの手前。ここが山梨県への県境。
トンネルを越えて上野原・相模湖方面にでると風景が一変した。なんとなく丹沢方面の山々の感じ。山々の雰囲気が違うんですね。いずれにせよ、この一帯はとても景色が良かった。遠景と近景が交互に目の前を通り過ぎ、ダイナミックに変化していく、、、。(奥多摩方面は、もっと山が詰まった感じというのかな。)
先ほどの登りが北側斜面で寒かったものだから、南側斜面の下りでは標高が低くなって暖かくなってくると、冷えた体にはありがたかった。ここでひと安心。
斜面の途中で丁度良いところがあったので、ランチタイム。ここまでくると、もうすっかり里山ってかんじの風景です。
全般的にみて、甲武山ルートは北側斜面も南側斜面も、かなりの隠れ名コースだと思う。(
風景、路面状態、車の少なさ、見通しのよさ、斜度、etc) ただ、ここまで来るだけでもタイヘンだし、人通りが無い場所だし、自己責任度も高いコースだと思う。
あとは甲州街道(R20)にでて、上野原から相模湖畔、そのまま大垂水を超えて東京へ。今日は全身の筋肉を上手く使い分けられたのか、あるいはエネルギーマネジメントがうまくいったのか、それとも補給が適切だったか、終始計画的なペース配分の通り走り終わったし、思ったほど疲れなかった。
たまに思うのだけど、ロードバイクって、剛性は高くて固いし、レスポンスはシビアだし、姿勢も特殊だし、乗りこなすには身体的にも準備が必要だ。でも、こういう風に、それなりに厳しい道のりでも自分の力だけで思い通りに走らせてくれる。やはり信頼がおけるし頼もしい相棒だなあ。